ヒト・メタニューモウイルス感染症

最近、保育園などに通っている子供の親御さんは、このやや耳慣れないウイルスをよく聞くのではないでしょうか。

確かにこの1か月ほど、RSウイルス(RSV)とともに流行が見られます。気管支喘息発作を起こしやすい代表のウイルスです。RSVとよく似ており、気管支炎、肺炎、喘息製気管支炎をおこしますが、RSVほど分泌物が多くない印象あります。RSVについては、昨年ブログに書いたのでご参照ください、また昨年同様RSVも季節外れの流行が見られています。

ヒト・メタニューモウイルス(human metapneumovirus:hMPV)感染症の臨床診断は喘息性気管支炎や細気管支炎(41%)が最も多く、その他気管支炎(24%)肺炎(23%)上気道炎(11%)です。症状は発熱(高熱)、咳嗽、鼻汁が90%以上で見られ、その他呼吸困難、嘔吐、下痢、頭痛などがみられます。潜伏期は4~6日、発熱期間は平均5日と長く、1週間以上続くときは中耳炎、肺炎などの細菌感染の合併を疑います。臨床症状だけでRSウイルスと鑑別するのは困難で、インフルエンザのような高熱とRSVのような呼吸症状が一緒になったと考えると理解しやすいです。

以前から喘息発作を起こしやすいウイルスとして知られ、hMPV感染症患者の中には、気管支喘息の増悪患児が10~15%存在すると言われます。流行時期は3~6月で、梅雨の時期に喘息が多いと昔言われていたのは、このウイルスが流行る時期であったからだという話があります。

RSVは1歳以下に感染多く、抗原迅速診断は1歳以下が保険適応です。hMPVは5歳以下が保険適応で、紛らわしいウイルスですので、一つのキットで検査できるものもあります。目黒では時季外れのRSとhMPが混在して流行しています。熱中症予防のためマスクを外すようになったことも関係しているのでしょうか。

呼吸状態に注意してみていくようにしましょう。