発達障害の相談、受けます

緊急事態宣言も明けて、以前のような日常が戻ってくるのを期待しつつ、、ブログも書いていきたいと思っています。

私が当クリニックに勤務し始めた令和2年4月、いわゆるコロナ禍に突入し、小児科外来だけでなく、学校、病院、地域、社会、人間関係のあり方、働き方、、すべてが変わりました。(ウイルスは以前から私たちの周りにいたのに、急にそれを意識せずには生きられなくなり、今後、以前と全く同じ世界には戻らないかもしれまんが、、)

今回のSARS-CoV-2については、今まで医療者も遭遇したことのない状況が起こり、私も皆様に、リアルタイムで正しい情報を伝える自信がなく、発信することができませんでした。

これからは少しずつ、発達の話、ワクチンの話、感染症の話、、ブログを書いていきたいと思います。とくに発達障害については、少しほかの小児科の先生より、多くかかわってきたので、相談を受けたり、発信ができればと思っています。まずは、ワクチンなどで受診のさい、ちょっとご相談いただければ、必要あれば時間をとって、相談をお受けするようにしようと思っています。

ゲーム依存

月光原小学校の校医を務めさせていただいていますが、コロナ禍のため、宿泊学習前検診なども中止になり、あまりお役に立てている気がしませんが、今回、年一回の学校保健研究会も中止となり、参加する代わりに、文章を寄稿させていただくことになりました。最近特に気になっているゲーム依存について、書きましたので、以下に掲載します。少し長いですが、読んでいただければありがたいです。

ゲーム依存  ~前頭前野を育てる子育て~

十数年前も、とある小学校から依頼を受け、ゲーム依存につき、原稿を書いたことがあります。「ゲーム脳の恐怖」という書籍や、ゲームの影響で中学生の2割は人が死んでも生き返ると錯覚する、など、ゲームが子どもの脳に与えるダメージが注目され始めていた頃でした。大人と違って子どもはゲームを反射的に習得していき、ゲーム中、脳の前頭葉の前頭前野という領域の血流が減ることが、脳血流画像検査で証明された研究を取り上げました。ゲームを長時間やるとその後に学習しても脳が働かないのです。前頭前野とはその人の個性の座と言われる部位で、衝動性や攻撃性、注意の持続や、その人の社会性や理性を司ります。その後、その研究をなさっていた先生がゲーム会社とコラボしてソフトを出されたりして、ゲームによる脳障害を防ぐことと逆行するように思い、残念に思った記憶があります。その後、スマートフォンの急速な発達により、ゲームはより身近に、年齢層問わず、スマホゲームという形で入り込んでいます。小児科に関連する学会は、はやくから、アメリカ小児科学会の基準などにも準じ、ゲーム、メデイアなどの総接触間は2時間までと推奨してきました。現実には、2時間を大きく超えてYoutubeなども含め、かなりの長時間メディアに暴露されている子ども達が多いのではないでしょうか。大人のスマホ依存も大きな問題となっており、とうとう日本医師会も「ゲーム障害にならないために」というポスター(健康プラザ№539)を作成しました

ゲーム障害にならないために今できる予防策は                 ①スマホ・ゲームの使用開始年齢を遅くする。②スマホ・ゲームの使用時間を短くする。③スマホを全く使わない時間を作る。④リアルの生活を豊かにする。⑤本人・両親に対する予防教育を行う。⑥大人が良き手本になる。 、、⑥はみなさんできていますか?

従来、ゲーム依存は発達障害の併存症という認識でしたが、アメリカ精神医学界のDSMやWHOの国際診断基準ICDでも疾患の一つとして診断基準ができるほど、世界的に問題となっています。DSM-5では今後の研究課題としてゲーム障害の診断基準は①渇望②離脱症状③耐性④コントロール障害⑤ほかへの興味の喪失⑥否認⑦嘘をつく⑧逃避的使用⑨社会的機能への障害の9項目が提案されました。2022年1月に正式に発効される予定のICD-11では①ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない②ゲームを他のどの活動よりも優先する③問題が起こっているにも関わらず続ける、などといった状態が12ヶ月以上続き、社会生活に重大な支障が出ている場合にゲーム障害と診断されます。

どのような要因があるとゲーム依存になりやすいのでしょうか?思春期の男性に好発し、低い自尊感情や学業成績、友人関係の乏しさなどが発症に関係しています。注意欠如・多動性障害などの発達障害は重要なリスク要因で、ゲーム依存の傾向があればはやめに治療を開始しないと、ゲーム依存の離脱症状を家族も抑えられず、家で暴れて警察を呼ぶ騒動になることもあります。

WISCⅣ(ウェクスラー式知能検査)という心理検査は、最も頻度の高い検査の一つで、言語理解(語彙力、意味理解)、知覚推理(視覚認知)ワーキングメモリ(聴覚系短期記憶)、処理速度(目で見て手で処理していく速度)という4つの指標得点で評価します。対人コミュニケーションの困難さや、衝動性多動性、不注意などの問題を抱える児で、ワーキングメモリが低いという傾向がみられます。ワーキングメモリの下位項目は、数唱、逆唱、語音整列、算数などの単純な検査内容ですが、脳の前頭葉機能をよく反映すると言われています。このワーキングメモリが低い児は、ゲーム依存に陥りやすく、注意が必要です。聴覚系より視覚優位で、ぶきっちょでも目で見てぱっぱっと処理できる児にゲーム依存傾向はよくみられます。前頭前野の機能が弱く、注意や集中が続かず何事もやり遂げられず、達成感満足感を得られないタイプの児が、ゲームはどんどん反射的に習得し、簡単に達成感満足感が得られ、依存していくのです。(本来は依存でなく嗜癖が正しい)

家庭で、もうゲームをやめなさいと言ったら切れて暴れたり、課金をするようになったら危険です。課金はギャンブル性が非常に高く、依存に拍車をかけるようです。また、eスポーツやプロゲーマーなど、ゲームを長時間やってスキルを身につけることが賞賛されるような風潮も、問題を複雑にしています。発達外来の不登校児は、将来なりたいものはプロゲーマーだと言う子が多くいます。生まれつき前頭葉の機能が弱い子どもはゲーム依存になりやすく、ゲームを長時間することで前頭葉の血流は低下し、前頭葉機能が落ちる可能性があるわけです。生まれ持って特性のある子はゲーム依存のリスクを予め強く指導します。

具体的に家庭で、ゲーム依存にならないようにするにはどうすれば良いでしょうか?まず、家庭でよく話し合って、ゲームのルールを決めます。例えば宿題が終わったあと、9時まで、とか、1日1時間までとか2時間までとか、30分のチケット制にして1日4枚までとか。目安はやはり二時間。ルールを決めたら、3日守れなかったら3日取り上げるなど、禁止の罰も明確にし、罰を発動する期間に余裕をもたせ(例えば1日守れなくても、次の日守れれば、なかなか3日守れない状態にはなりません。)、罰の解除も明確にする(3日取り上げるがその後はまた遊べる)。無期限で取り上げられあたり、壊してしまったりすると、その後もっと悪い行動(母の財布からお金を抜いて買いに行くなど)に至ることがあります。

子どもの脳はまだ発達過程です。新生児、脊髄レベルだった中枢神経は神経細胞の髄鞘化が2歳で完成します。また、聴覚野視覚野の可塑期(臨界期)は6歳であり、ここは中枢神経系発達の一つの節目でしょう。さらに脳は発達し、脳波は安静閉眼時に後頭葉に現れるα波が、14歳には大人並みになり、9~10Hzになります。日々の関わりで子どもの前頭前野を育て、自尊心や社会性、理性も育てていきましょう。それには、

    ハードルを下げてほめる! ほめるときのお母さんは笑顔です!

 

RSウイルス性細気管支炎

目黒区でRSウイルスが大流行しています。例年、冬の初めに流行が多いウイルスですが、実は検査ができてみると、一年中ウイルスはいることがわかっていました。昨年度はコロナで感染対策が徹底されたことや、集団生活が少なかったことから、RSウイルスはもちろん、インフルエンザも全く流行しない異例の年でした。

乳児は症状が悪化します。月齢が低いほど注意が必要です。年齢が上がると、ちょっと鼻水や咳が多いくらいで、発熱もなく普通の風邪として経過します。ですから、検査の保険適応は1歳未満で、登園停止基準もありません。

RSウイルスの臨床的な特徴は、水様性鼻汁が多量だな、と思っていたら、2,3日後に激しい痰がらみの咳、発熱(38度台後半くらい)、喘鳴(外からもぜいぜい聞こえる)陥没呼吸(胸がぺこぺこ)せき込み嘔吐(激しくせき込んで分泌物とともに食べたものやミルクを嘔吐します)分泌物(鼻水、痰)が非常に多く、気管支のさらに狭いところに炎症を起こし、月齢が低いと痰が詰まって無気肺や肺炎を起こしやすい、最も入院加療を要しやすいウイルスといえるでしょう。

喘息の体質のある児は、喘息発作を起こしやすいウイルスです。

毎年かかるウイルスで大人もかかります。ですから、お母さんもかかるし、新生児からかかってしまいます。乳児、年齢の低い児ほど、無気肺など起こしやすく、呼吸状態のこまめな観察が必要です。

入院しても、対症療法しかありません。特効薬はありません。点滴で水分、電解質、糖分を補い、加湿と酸素と気管支拡張剤の持続吸入を行います。

入院の目安は、①呼吸状態が悪い せき込んで寝付けない(寝ていて起きるのは仕方ないです)陥没呼吸がひどい(胸がペコペコへこみます)呼吸数が多い、酸素飽和度が95%以下になる②全身状態 せき込んで嘔吐し、水分もとれず、おしっこでない ③発熱が4日以上続き、細菌の二次感染が疑われる などです。月齢が低いほど、狭い気管支が痰で詰まって無気肺や肺炎を起こしやすいので、入院になる確率が高いです。通常1歳までに半数2歳までに100%罹患します。初感染では上気道炎を引き起こしますが25~40%が下気道に炎症が波及し、2~3%の乳幼児が重症化し、入院加療を要します。

早産児や、先天性心疾患などのお子さんは、毎年抗体そのもの(シナジス)を筋肉注射しますので、よくご存じでしょう。抗体を体に作らせるワクチンはまだありません。

咳が激しく、飛沫が多く飛びますので、感染対策は非常に難しいです。アルコール消毒は有効です。

入院にならないよう、回数多く1回量少なくミルク、水分(イオン飲料)を与える。離乳食はきつくて食べられません。呼吸状態をよく観察する、喘息性気管支炎に準じた内服治療、吸入、をして、長い経過ですが乗り切りましょう。

RSウイルス Respiratory Syncytial Virus                     パラミクソウイルス属 エンベロープ有する 1本鎖RNAウイルス 潜伏期3~5日 平均4日 発症から1週間、10日間くらいは感染性ウイルスを排泄 接触 飛沫感染

 

保育園園医 小学校校医

4月から、碑文谷保育園の園医と、月光原小学校の学校医を拝命し、さっそく検診業務を開始しました。

小児の医療費無料が当たり前の世の中であり、何らかの基礎疾患のある児はすでにスクリーニングされております。また、日本には世界に誇れる乳幼児検診システムがあり、3,4か月、6,7ヶ月、9,10か月、1歳6か月、3歳と発達のキーポイントとなる月齢で、しっかりスクリーニングされております。

そのうえ、保育園では0歳児は毎月検診を受けるとのこと、、大忙しです。このような中で、園医、学校医の役割はなにか、、しっかり見極め、務めさせていただくからには、お役にたてるよう、発達の相談、保護者の支援、保育者の支援など何でもニーズに応えていきたいと思います。

実は私はずっと、各年代に絶え間のない命の授業、をやりたいと思っていました。離島で専門医不在の中で、不登校や被虐待児の診療をしたことや、児童養護施設とかかわったり、児童相談所の嘱託医をする中で、そう思いました。生命尊重センターhttp://www.seimeisontyou.org/index.htmlの活動も加入はしていますが、なかなか活動ができていません。

保育園児から命の尊さについて学び、小学校高学年からは、性教育も行う。突然の性教育ではなく、命の尊さ、生命誕生の神秘などを就学前から学ぶことで、自尊心も育ち、自分を大切にすることのできる人間が育つ。そうすれば、いじめも、望まぬ妊娠も、児童虐待もない、そんな地域になると思います。地域の皆様とつながりをもち、そういった活動をしていきたいと思います。どなたか、活動なさっている方がいらっしゃったら、お声かけください。

仮設診療所

皆様のご協力のもと、3月18日から仮設診療所での診療を開始しております。仮設とはいえ、1年数か月診療を行う場所です。レントゲン設備も含め、以前の設備はすべて移し、同様の医療が提供できる状態になっています。また、入戸野先生のライフワークである胆汁酸研究所の精密機械もすべて移転し、研究も継続されています。今まで同様、患者様に安心していただける医療を提供してまいります。

今後は、新クリニック建設の進捗状況もこのブログでお伝えしてまいります。また、私の診療経験の多い分野である障害児療育や、発達、子育て相談、命の教育など、ブログでの発信も充実させていきたいと思います。

withコロナ時代の小児科診療

こんにちは
子育ては、もはや人生の最難関事業といわれる時代、たくさんの情報に振り回され、育児を楽しめないお母さんがなんと多いことか。みんな、一緒だよ、と声をかけたくなります。(ただ、目黒は、お子さんもお母さんも、精神的にも安定した方々が多いと感じます。)
ネットに様々な情報があふれる中、私にできる事は、診察に来てくださったお子さんの症状、所見を、保護者の方と一緒に、これは大丈夫、これはこうすればいい、この症状にはこの薬、こんな経過が予想される、と、一つ一つ確認していくことしかないのではないかと思います。
いまの保護者の方の最大の関心事はやはり、コロナウイルスでしょうか。
にっとのクリニックでは、検診、予防接種、発達の相談、アレルギーの相談に来られる、感染症以外のお子さんも、また、高齢者の方も、安心して受診していただけるよう、日々考えています。インフルエンザ流行の時期に向けて、ウイルス感染が疑われる発熱や咳のある方と、それ以外の方を、空間も時間もしっかり分け、安心して受診できるよう、対策を講じています。

お母さんの話を聞きなさい

みなさん、こんにちは。にっとのクリニック院長の荻原仁美です。にっとのクリニックのブログへようこそ。

私はちょうど50歳。今迄の人生を振り返って猛省しつつ、診療、育児経験を生かして、少しでも誰かのお役に立てれば、と思っています。

学生時代に手話を学び、人工内耳にあこがれて耳鼻咽喉科医になりました。各科を研修し、3年半、耳鼻科医として過ごしましたが、訳あってとん挫。結婚、出産し、二児の母となりました。障害児療育に携わっていた私を、小児科として再出発するよう後押ししてくださったのは、当時東京小児療育病院(武蔵村山市)の院長でいらっしゃった鈴木康之先生。私は勝手に恩師と呼んでいます。小児科医として再出発の大学医局入局にあたり、鈴木先生に「私は、何をすればよいでしょうか?」とお尋ねしたら、「お母さんの話を聞きなさい」とおっしゃいました。

いまや、二人の子供も成人するほどの月日が流れましたが、私は常に「お母さんの話を聞きなさい」の言葉を胸に刻んで診療しております。何でもお話してくださいね。